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【コラム】保育現場に役立つアドラー心理学

アドラー心理学の考え方を応用すれば、環境ではなく自分を変えることで環境に適応できたり、対人コミュニケーションを円滑に進められるようになります。子どもとの信頼づくりはもちろん、保育現場特有の人間関係の悩みに対処できたり、同僚の力を引き出せ、チーム力の向上にもつながります。
アドラー心理学

5つの基礎理論

自己決定性|人生の主役は自分

  • 自己決定性とは「人生の責任は自分の手に委ねられている」という考え方です。置かれた環境をポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるかを決めるのは自分自身だと、アドラーは主張しています。
    「いまこれから自分がどうしていきたいかで人生は変えられる」
    「自分で選択できる」
    このような感覚が幸福度につながるというのが「自己決定性」の理論です。
    保育でも子どもの主体性を育めるよう、子どもが「自分で選択できる」ことができる環境を作っていきたいですね。

目的論|人の行動には目的がある

  • 「人の行動には、かならず目的がある」という考え方が目的論です。人が何かしようと行動を決めるときは、必ず未来に向けての意思が働いているとアドラーは言います。
    人間は目的に向かって生きているため、過去がどうあれ、目的次第で人生は変えられるとアドラーは主張しています。そのため、アドラー心理学は「未来志向の心理学」とも言われます。
    子どもの注目行動にも必ず目的があります。目的を捉えてあげると、寄り添った関わりができるかもしれません。同僚の気になる感情も実は目的があると捉えれば、感情がぶつからず、建設的に考えることでいい関係でいることができます。
    また、保育一つ一つにしっかり目的を持つことも大切です。子どもの心の成長をどう育むかどんな心に育ってほしいかをしっかり持たないと、自分の感情に左右され、時間や目の前のタスクに追われて関わり方がぶれてしまいます。
    目的にそった関わりをしていきたいですね。

全体論|心と身体はすべてつながったひとつのもの

  • 「頭ではわかっているけどできない」と、悩む人は少なくありません。
    ・お酒をやめたいけどやめられない
    ・勉強しなきゃいけないのはわかるけど、できない
    人はときに、頭と心を分割して考える癖があります。
    しかしアドラーは人間の心と体を分けて考えるのは不可能であり、全体の立場から捉えるべきだと主張しています。これが「全体論」です。
    「わかっているけどやめられない」のは「やめられないのではなく、やめたくないだけ」。
    人の心に矛盾はないと言っています。自分で矛盾を作り出すのでなく、言葉と行動を一致させようと主張しているのです。
    ちょっと辛口ですね。保育者さんは、心は辛いのにてきぱき動いて頑張りすぎてしまいがち・・心も体も大事にしましょう。

認知論|誰もが主観的に物事を見ている

  • 「誰もが自分だけのメガネを通してものを見ている」という考え方を「認知論」と言います。客観的な事実を把握するのでなく、自分の受け取りたいように主観的に意味付けてしまうため、ときに間違った思いこみを起こすこともあります。
    たとえば、仕事でミスをしたとき「自分なんていくら頑張ったところでうまくいかない」とあきらめるのは、間違った思いこみと言えるでしょう。
    努力すればミスはなくなるかもしれませんし、失敗したからこそ、仕事への理解を深められるかもしれません。
    「いくら頑張ってもうまくいかないってほんと?」
    「どうしてそう断言できるのか?」などと疑うのです。誤った思いこみに気づいたら、建設的に物事を捉え直しましょう。
    保育観の共有は意見を出し合い、議論するしかありません。しかし、保育観も保育士一人一人違うものを持っています。それじれ違う見方をしているということです。個人の意見を尊重することを大事にしながらも、すり合わせを都度行っていきましょう。

対人関係論|すべての行動には必ず相手がいる

  • 対人関係論とは「人間のあらゆる行動には相手役がいる」とする考え方です。人は特定の状況・相手・目的によって行動や感情を使い分けます。
    アドラー心理学では、その人が他人とどう接しているかを見て相手を理解しようとします。
    相手が何を考えているかわからないときは、その人が「どのような場面でどんな行動をする人物か」を観察することでその人自身が見えてくると主張しているのです。
    全ての悩みは人間関係でありながらも、人とのつながりで人は幸せを感じると言っています。保育現場の離職の原因の多くは、人間関係の悩みです。逆に人間関係を良好にすれば、保育はますます楽しくなり、質の高い保育が行えるでしょう。
     

アドラー心理学の価値観

共同体感覚は、下記3つを身につけることが重要です。
ありのままの自分を受け入れる(自己受容)
他者が自分を支えてくれている(他者信頼)
自分は他者に貢献できている(他者貢献)
この3つは幸福3条件とも言われています。アドラーの思想は、保育現場にも子どもとの関わりかたにも非常に役立つ思想です。アドラーの思想を取り入れて、幸せに過ごしたいですね。

 

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